『ことばの相談室』徒然

ことばやコミュニケーションについて心配や気になること、お子さんに聞こえの問題があり子育てに不安がある、発達全般について心配がある・・・などなど、国家資格を有するカウンセリングサロンです

嬉しいお便り

今日、あるお母さんから嬉しいお手紙が届いていました。

私への温かいメッセージとお礼のお手紙だったのですが、読ませていただきながらそのお母さんとお子さんとのたくさんの思い出がよみがえりました。

そのお手紙の中にこんな文が書かれていました。

<ひとりひとりおかれている状況は違いますが、私はせっかく生まれてきたのだから、沢山笑って幸せになったもん勝ちだと思っています。>

本当にそうですね。幸せはその人の心が決める。

私も日々悩んだり、落ち込んだりすることがたくさんあります。でも、できるだけ笑顔で過ごしたい。

優しいみなさんから優しいお礼のことばをいただきます。こちらこそ有難うございます。ご縁があり、ある時期をご一緒させていただいた親御さんやお子さんから私もたくさんの学びや気づき、そして生きる力をいただきます。こちらこそ感謝です。有難うございます。

偏食がある子

先日テレビで、食事に問題がある発達障がいの子ども達の話題が放送されていました。こういうことが話題になるのはすごく良いことです。というのは、発達障がいがある子で感覚に過敏があり、食事が進まない子が結構いるからです。

白いご飯しか口にしない子、納豆ご飯しか食べない子、ある特定のメーカーのパンしか受け付けない子。

私たちが感じている以上に、見た目や食感、食べた時の音や匂いに敏感だということです。

その番組の中に出てきていた男の子は、揚げ物の衣がまるで針で刺されるように痛かったと言っていました。私たちとは感じ方が違うのですね。

広島市の療育センターでは一人一人の特性に合うように給食の調理の仕方を変えたり、何がこの給食の中に入っているのかを絵カードなどで説明したりしているそうです。その地道な取り組みのおかげで偏食が改善した子がたくさんいるとか!

この療育センターでの取り組みが冊子になるようです。

 

 

大切な話し掛け

発達に問題がない聞こえるお子さんが一つのことばを理解して表出できるようになるまでに、なんと800回も聞いているそうです。

とすると、子どもへの話しかけはとても大切。

名詞って何度でも話しかけできるのです。例えば、極端な話、テーブルの上にペンを置いて、「〇〇ちゃん、これはペンって言うのよ。ペン。ペン。」と何度も伝えられる。(そんな話しかけはしないでいただきたいですが・・・)チンパンジーも名詞くらいは覚えられるみたいですし。でも動詞や形容詞、気持ちのことばなどは名詞のようにはいかないですね。

例えば、食べている時に「〇〇ちゃん、りんご美味しいね。たくさん食べてるね。」と話しかけできますが、食べ終わったら話しかけできない。気持ちを表すことばを話しかけするのにはもっとピンポイントになってきます。楽しそうに遊んでいる子どもに「楽しいね。」と話しかけをする。子どもは<こういう気持ちの時に楽しいっていうんだ〜>とだんだん理解して、700回!その気持ちの時に話しかけられたという経験を積んで自分のことばにしていき、「楽しい!」と表現できるようになる、ということです。

とすると、話しかけって本当に大切。発達がちょっとゆっくりなお子さんの場合は800回以上必要になってくるかも知れません!

じゃぁ、話しかければいいんでしょう、ということで一方的に話しかけをしてもだめなのですね〜。子どもの視線の先にある興味のあるものを一緒に見て、そこに話しかけをしていく。コミュニケーションですから。お互い共有する、分かち合う、という姿勢が大事です。

写真カードで伝え続けて・・・

4ヶ月の時からろう学校の乳幼児相談に通い、現在9ヶ月の聞こえない赤ちゃん。ママは写真カードを作り、写真カードと手話、音声で伝えて来ました。例えば、ろう学校に行くときには、私の写真カードを見せ学校へ行くことを伝え、学校へ行く途中にももう一度見せ、着いたら実際の私と写真カードを見せながらマッチングをさせる。始めた頃は何の反応もなく、写真カードを見てくれるように見せるのにもママは一苦労。それでも一生懸命見せ続け、その内しばらく経った頃、カードをジッと見てくれるようになりました。そして続けてから3〜4ヶ月経った頃、分かってくれたのです!写真カードを見て、実際の私を見て、また写真カードを見直して、実際の私を見てニコッと笑顔。ちゃんとマッチングして私のことを分かってくれた! 「関根先生、分かったよ。学校に来たんだね。」と言っているかのようでした。

すごい!こんな小さいのにちゃんと分かってる。

こんな丁寧な関わりの積み重ねがことばとそれを支える見て考える力を育みます。

母ってすごいなぁ!

先日、ろう学校の乳幼児相談に通っているお母さん達にお願いし、お子さんが生まれてから今までのことをお話ししていただく会を開きました。長い方で通われてから約2年弱が経ちます。

聞こえない子・聞こえにくい子の子育ては子育ての基本。こうあるべき理想的な子育てのチャンスをもらったということ、とある先生がおっしゃっていましたが、皆さん、それぞれが真正面から子どもに向き合い日々を大切に過ごしてきたのだな、人間ってすごいなぁ、母ってすごいなぁ、と涙が出ました。

大きなことを受け入れるには、それと同様の大きな拒否が必要である、と言います。キュブラー・ロスが「自分の人生で何が起きているのかを、つねに両側からみること。あまりにも不当だと思ったとき、コインの裏側を見ること。」と言っています。

ある日、あるお母さんが「先生、受け入れると楽になります。」とおっしゃっていました。そのことばに感動し、私自身のことも色々と考えました。

お母様達から私は学ばせていただくことが多く本当に感謝です。ありがとうございます。

発音について

お子さんの発音についての相談をよく受けます。

聞こえるお子さんに関してですが、発音だけがおかしい、という場合ももちろんあるのですが、そうではないケースもあります。

発音だけと思っていても、もしかしたら発達の問題とリンクしている場合があります。

発音が不明瞭というお子さんの多くに、身体の動かし方や手先の使い方が不器用、ということがあります。また、食事の際によく噛んで食べられない、鵜呑みにしてしまう、口を開けたまま食べている、という子もいます。

発音だけにスポットを当てるのではなう、その子の発達全体を見ていくことも必要な場合があるのです。