『ことばの相談室』徒然

ことばやコミュニケーションについて心配や気になること、お子さんに聞こえの問題があり子育てに不安がある、発達全般について心配がある・・・などなど、国家資格を有するカウンセリングサロンです

本当に聞こえないだけ?

新生児スクリーニングで聴覚の障害が直ぐに見つかるようになりました。聴覚障害だけだと思っていたのに、あら?なんかちょっと?この子は本当に聞こえないだけなのか?それとも自閉症スペクトラムがあるのではないか?

 

自閉症スペクトラムかどうかは聞こえに関わらず小さい時に判別するのは難しいです。大抵3歳以上にならないとどんなお子さんでも自閉症とはっきりと診断名がつかないことが多いです。でも、この子には聞こえない障害の他にもしかしたら自閉的な傾向があるのではないか?と心配になったら・・・聴覚障害だけの場合は下記の3つ組の定義が全て当てはまることはありません。

 

英国の児童精神科医ローナ・ウイングは自閉症の3つ組を定義しました。この3つ組の障害に全部当てはまると、自閉症スペクトラムである、ということです。3つ組の1つ目は社会的相互交渉の障害。2つ目はコミュニケーションの障害。3つ目は想像力の障害です。

 

社会的相互交渉の障害とは人との関係を作るのが大変難しいということです。人よりも物への興味の深さ。人への無関心。視線が合い難い。身体に触れられることを嫌う、などが乳幼児期より見られます。

自分と物との関係を作ることは上手なのですが、自分と人との関係を作ることが難しい。赤ちゃんは数ヶ月経つと、おもちゃで遊んでいても、ママに共感の眼差しを送ってきます。そういうことがありません。また、小さい頃は人見知りもなく、おとなしくて育てやすかった、というお子さんも多いです。

 

コミュニケーションの障害とはことばの表出と理解に問題が見られるということです。

 

そして想像力の障害。物を一列に並べたり、同じ行動を繰り返したり、変化が嫌いであったり、特定の物にこだわったりします。小さい子がよく好むごっこ遊びなどは想像力の発達がベースとなっています。見立て遊びっぽいことはなんとなくできます。例えば、食べる真似をする、お茶を注いで相手に渡すなど。でも遊びの本当の意味を理解して友達と遊ぶということができません。

 

また、3つ組の定義の他に、小さいころは、感覚の異常や睡眠障害、多動、極端な偏食も見られることが多いです。

 

以上が自閉症スペクトラムの特徴なのですが、聴覚障害のみの乳幼児のお子さんの場合、上記のような3つ組の障害が全て当てはまることはありません。もし、聞こえないプラス自閉症スペクトラムのお子さんであった場合は、聞こえに対するアプローチだけでなく、自閉症スペクトラムのお子さんへのアプローチも必要になってきます。また、知的な面での発達に大きな遅れと聴覚障害自閉症スペクトラムお子さんの場合は、スペクトラムへのアプローチが大切になってきます。そのアプローチはできるだけ早いうちからが良いです。

 

下の写真は焼きリンゴとバニラアイスのデザート。フライパンに砂糖を敷いてその上に切ったリンゴを敷き詰めて片面5分ずつ焼いただけ。お試しあれ!

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