『ことばの相談室』徒然

ことばやコミュニケーションについて心配や気になること、お子さんに聞こえの問題があり子育てに不安がある、発達全般について心配がある・・・などなど、国家資格を有するカウンセリングサロンです

南村洋子先生の本

南村洋子先生の2冊目の本ができあがりました。

「子どもとママと担当者と3年5ヶ月の軌跡」という本です。この本は、保護者が書いた生活の記録に南村先生がコメントを書く、という形の実践事例集となっています。

何歳何ヶ月頃にはどんな関わりをして、子どもとはどんなコミュニケーションをとり、どんな遊びをしているのか。聞こえない・聞こえにくい子の子育てだけでなく、聞こえる子の子育てにも参考になる本だと思います。

 

では、本の一部を抜粋・・・

2歳5ヶ月の頃のとも君

<(母親の記録)よる、家族で団欒中にともが「お父さんとお母さんとお兄ちゃんとともと動物園に行った。ともは馬に乗った。お兄ちゃんは黄色いヘルメットをかぶって、馬に乗った。ともはピンクのヘルメットをかぶって、馬に乗った。ともは高くなった」と話した。お父さんが「動物園で一番楽しかったことは何?」ときくと、ともは「にんじん、ヤギにどうぞして、ヤギ食べた」と答えていた。お父さんが「ヤギはこうやってベロ出して食べたね」とヤギの真似をすると、ともは大喜びで同じように真似をした。お父さんは、ともが今日あったことを思い出して、自分から話し出したことに感動し、コミュニケーションが取れることに驚いていた。>

<コメント:過去の経験を語れるようになったとも君。そのようすに驚き、喜びを隠せないお父さん。そうです。とも君は耳が聴こえないだけです。コミュニケーション手段が、聴こえる人とちがうだけでした。コミュニケーション手段を幼い聴こえない子どもに合わせるだけで、家族団欒のときに、対等にお話ができるのです。楽しい団欒が家族みんなのものになっています。>

 

2歳5ヶ月の頃のあるお子さんの様子です。この2歳5ヶ月になるまでに、家族が手話(と音声を使って)で丁寧にコミュニケーションを取ってきた積み重ねがあることを忘れてはいけません。<ただ単に手話を使えばいいのか?>ということではありません。手話を共通言語にして、子どもの視線の先にあるものを一緒に見て、子どもが今何を見ているのかを考え、何を考えているのかを想像し、子どもと視線を合わせ、子どもの心に寄り添い、共感しながらのコミュニケーションを毎日とってきた結果なのです。

こうなるまでにどんな関わりが必要なのか?この本を読まれると、たくさんのヒントが見つかると思います。

 

ご購入希望の方は、
ろう・難聴教育研究会事務局(前田芳弘)
tcymaeda@hotmail.com
Fax:03-3884-9582
(1冊1000円)

ハート&コミュニケーション
Kotoba-heart.com

 

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