『ことばの相談室』徒然

ことばやコミュニケーションについて心配や気になること、お子さんに聞こえの問題があり子育てに不安がある、発達全般について心配がある・・・などなど、国家資格を有するカウンセリングサロンです

ことばの力

もうだいぶ前の話になりますが、とっても印象に残っている出来事があります。ダウン症の男の子のエピソード。その子はちょっと頑固ちゃんなところがありました。個別指導が終わり、片付けてもう帰ろう、ということになると、まだ帰りたくないと頑として動かない。教室の真ん中に腕を組んで座って怒り始めるのです。なので毎回毎回終わりにするのが大変でした。

 

そんなことが何回か続いたある日の個別、また今日も怒って動かなくなっちゃうかなぁ〜、と思いながら、「お終いね。片付けようね。」と伝えると、「仕方ないね〜。」と言いながらあっさり片付けをしてくれたのです。えぇ〜!どうしたの〜!ビックリ〜!

お母さんに聞いてみると、家で同じようなことが起こった時、「まだ遊んでいたいよね。でも、もうおしまい。仕方ないね。」と彼の気持ちを代弁した言葉かけを続けたそうです。その仕方ないね、という言葉が彼の気持ちにフィットしたようで、ある時から「仕方ないね。」と言いながらスッと片付けをしてくれるようになったとのこと。

 

大人は片付けた後の見通しが立っているので、片付けなくちゃな、と思います。片付けたら夕飯作って、お風呂に入れて・・・などなど。でも子どもはそうではありません。片付けた後、どういうことが待っているのかを伝えていくことも大事です。そしてこのお母さんがされていたように、子どもの気持ちに共感した話しかけをして、子どもの気持ちをまず受け止めてあげることも大事です。

 

話すことは放すこと。一言、自分の気持ちにフィットしたことばで気持ちを言い表わせるようになると、行動が落ち着くのです。それまで行動で言い表していたことばにならなかった気持ちを、ことばで言い表わせるようになるからですね。

 

友達におもちゃを取られそうになると、友達のことを叩いてしまう子も、一言、「いやだ!」と言えるようになると、行動が変わってきます。ことばってすごい力を持っているのです。そのことばを育む手助けをしていくのは私たち大人。話しかけを大事にしていきたいですね!

 

下の写真は夏に綺麗に咲いた黄色いカサブランカ。百合って植えっぱなしでも毎年美しく咲いてくれるので偉い!

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