『ことばの相談室』徒然

ことばやコミュニケーションについて心配や気になること、お子さんに聞こえの問題があり子育てに不安がある、発達全般について心配がある・・・などなど、国家資格を有するカウンセリングサロンです

聞こえない赤ちゃんたち

私が出会う聞こえない赤ちゃんたち。ご両親は新生児スクリーニングで我が子が聞こえないと言われ、皆さん不安を抱えて来室されます。不安の中での子育てのスタートだろうと思うのですが、こちらの伝えることを皆さん一生懸命に受け止めようとしてくださり、子供の成長を信じて、聞こえない子の子育てをされています。

不思議ですね。聞こえない赤ちゃんは90%が聞こえる両親から生まれてきます。聞こえないお子さんが生まれることでスッと新しい扉が開き、その扉は新しい世界へとつながっています。

そしてお母さんたちは必ず子どもと目と目を合わせて、手話と音声、身振り、表情、写真カードなどを使いながらの子育てが始まります。

 

生まれてから1年間は本当にあ〜でもなければ、う〜でもない。本当にこれで大丈夫なのかしら?と思いながらの子育てだと思うのですが、それは聞こえる赤ちゃんも同じこと。丁寧な子どもとの関わりを続けることで、1歳くらいになると初語としての手話が表出されるようになってきます。その愛らしい手で紡ぎ出されることばは本当に可愛らしい。ことばで表現できるということは、理解できることばがたくさんその子の中に詰まっていることが必要で、ことばが理解できていることの前に理解できる事柄がたくさんその子の中に育っていなければなりません。

 

まだ1歳ちょっとのお子さんが、傘を見て「雨」と手話で表現してくれたとママから報告がありました。すごいですねぇ。色々なことが関連づけられているのですね。その子に私が「お友達いるよ。いいねぇ!」と伝えると、その可愛らしい手で「お友達 いいね!」と真似をしてくれたり、自分で上手にできると「上手」という手話をして拍手する姿などが見られます。

 

またある1歳のお子さんは早く帰りたくて、ママが持ってきたバッグ、日傘、抱っこ紐、自分の帽子をかぶって身支度していました。よくわかっているものだな、と感心しました。さすが目の子!よく見てちゃんと見比べています。

 

手話を使って子育てをすることで、考える力、知識の獲得、ことばの概念は聞こえるお子さんと遜色なく育ちます。

 

ドレペ神父が世界で初めて聾唖学校を建てた、と言われているフランスでは、聞こえるお子さんにも手話と音声を使って教育をしている保育園があるそうです。手話を使うことで認知力の向上が期待されると報告されていました。

 

庭に咲いた小さな紫色の花。

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