『ことばの相談室』徒然

ことばやコミュニケーションについて心配や気になること、お子さんに聞こえの問題があり子育てに不安がある、発達全般について心配がある・・・などなど、国家資格を有するカウンセリングサロンです

声に引きずられないように

聞こえにくいお子さんと接している時に気をつけていること。自分に言い聞かせていること。それは、声に引きずられない、ということ。これは私たち聞こえる人間にとっては本当に難しいことです。聞こえる人間はどうしても声に引きずられてしまいがちです。

 

「おうちに帰るよ。お片づけをして。」という音声での話しかけに、お片づけをし始める聞こえにくいお子さん。一見すると音声での話しかけに反応し、理解し、行動しているように思えます。でも、本当にそうでしょうか?ことばでの理解ではなく、何となく状況判断で行動している可能性もあります。

 

 聞こえる集団に入っている聞こえにくいお子さん。先生は「他の子と変わりなく生活しています。」と言います。でも、本当にそうでしょうか?

 

 聞こえない・聞こえにくい子は目の子。上手に他の子の様子を見て同じように行動できてしまうので、一見するとうまくやっているように見えるかも知れません。でも、それが落とし穴。目で見て真似して行動する。それは映像のみであり、ことばできちんと理解して行動している訳ではありません。そんな状況がずっと続いてしまったら一体どういうことになるのでしょう。

 

 聞こえにくいという障害は目に見えない障害です。音声言語での聞き取りは常に曖昧であり、私たち聞こえる人間のように聞こえているわけではありません。雑音があるこの世界ではより一層聞き取りは難しいでしょう。

 

 聞こえない・聞こえにくい子が音声言語に反応したとしても、音声言語で言い表してくれたとしても、それに引きずられないように気をつける。きちんとアイコンタクトをして視覚的な補助などを使いながら話しかける。

 

 聞こえにくい子がお話ができるようになると、聞こえる人間はその子の聞こえにくさをついつい忘れてしまう。そういうことがないように。

 

ことばの相談室 ハート&コミュニケーション

http://kotoba-heart.com

 

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