『ことばの相談室』徒然

ことばやコミュニケーションについて心配や気になること、お子さんに聞こえの問題があり子育てに不安がある、発達全般について心配がある・・・などなど、国家資格を有するカウンセリングサロンです

新生児スクリーニング検査(新スク)でリファーとなり、コロナで相談にいけない親御さんへ 12

毎日、緊張して生活をしているみたいで、でも、やっぱり人間ですから気が緩みます。気が緩み、気が抜けたときに、やっぱりアクシデントって起こるのですよね〜。で、ブログ、書けませんでした。

 

「ことば」ってどんな風に育つのでしょう。私たちはどんな風に「ことば」を覚えたのでしょう。ことばは教えられて育つものではないんですね。コミュニケーションの中で育まれるのです。コミュニケーションについては先日お話ししました。コミュニケーションとは、心と心の通い合い。こちらが投げかけて、相手が受け取ってはじめて成立するもの。心と心が通い合う中で、育つのですね。

 

聞こえる子がひとつのことばを理解して言えるようになるまでに、一体、何回、そのことばを聞いていると思いますか?そういう研究をされた人がいらっしゃるのですね。なんと最低でも800回聞いているのですって!

だから、聞こえない・聞こえにくい子や発達がちょっとゆっくりな子の場合は、きちんと目を合わせて、子どもの視点に立った話しかけが大事になってきますね。こちらは話しかけた気になっていたとしても、子どもがちゃんと受け取らないと成立しないのですから。

 

ことばが手話やジェスチャーや音声で言えるようになるまでに、どんな力が必要なのでしょう。土台にあるのは、「分かる事柄」。これは「イメージ」ですね。これとこれは同じとか、これは同じように見えるけれど、違うとか、そういう力も必要です。

イスを見せると、それは座るときに使う、ということがわかっている。イスとテーブルは違う。テーブルはご飯を食べるときに使うとか。イチゴは食べるもので、赤くて、ゴマみたいなのがついていて、ヘタを取って、洗って、口に入れると甘〜いんだよねぇ、とか。イチゴとミニトマトは違うんだよね〜、とか。このイメージがたくさん入っていればいるほど、ことばが豊かになるのですね。だから、経験が大事。

 

そして、「分かる事柄」の上に乗るのが、「分かることば」。「お茶 飲む?」と聞くと、自分でコップを持ってくるとか。コップでお茶を飲んだ経験やイメージが土台にある。「イチゴだよ〜。食べるよ」と言うと、すっご〜く喜ぶとか。「おむつ どこ?」と言うと、おむつを探して持ってくるとか。でも、こういう視点も必要。例えば、「新聞 持ってきて」と子どもにきいたとして、その行動ができていなかったら、「新聞」が分からないのか、それとも「持ってくる」が分からないのか。分からなそうにしていたら、いっしょに話しかけをしながら「新聞を持ってくる」。

さて、その上に乗るのが「表出できることば」なのですね。だから、表出できることばを増やしたいのなら、分かる事柄と分かることばをたくさん増やすことが大切なのです。日々の生活の中での経験や子どもとどんなコミュニケーションを取ってきたのかが、大切なのです。

 

子どもの表面に現れる事(表出できることば)にとらわれず、見えない部分を大切に大きくしていきましょう。

 

ハート&コミュニケーション 関根久美子(言語聴覚士

Kotoba-heart.com

 

 

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