反り返り
暑い日が続いていますね。私は夏風邪を引いてしまいました。皆さんもお気を付けください。
さて、先日、難聴の子を育てているお母さんから「反り返りがひどくて大丈夫なのでしょうか?」という相談がありました。
難聴があると診断を受けている赤ちゃん達。不思議なことに多くの赤ちゃんに反り返りが見られます。「抱っこをするのが大変です。」とお母さん達からよく聞きます。
抱っこ紐で抱っこをしていてもその首を後ろの方へ反らせてしまうので、道を歩いているお年寄りの方から注意を受けるお母さんもいます。お母さんはしたくてしている訳ではないのですが。
またブリッジのようにしてそのまま移動している子もいます。そのせいでその子は頭のてっぺんに大きなハゲができてしまいました。
抱っこをするとイナバウアーのように反り返る子もいるので、危なくてなかなか抱っこがうまくいかないこともあります。
どれもこれも難聴の子特有のこと。
三半規管の未熟さからくるのではないか、後ろの情報を得るためにしているのではないか、と言われています。
そのうち自然におさまっていく子が多いので、あまり心配する必要はないかと思います。
お読みくださりありがとうございました!
マイノリティーとして生きていくには
以前、私は海外(フランス)で10年近く生活をしていました。日本人が私だけという修道院が経営している学生寮に入っていました。私の他は移民としてフランスに来たベトナム人、戦争のため国を追われた旧ユーゴスラビア人、北欧からの留学生や韓国人なども一緒でした。
私は日本でのマジョリティーの生活からマイノリティーへの生活をすることになりました。このマイノリティーの体験が今の聴覚障害分野での仕事に役に立つことになるとはその時には予想もしていませんでした。
マイノリティーで生きるということは時にとても孤独で辛いものがあります。もちろん差別も受けます。フランス人からすれば、日本人の私は日本人である前に<アジア人>。アジア人よりもヨーロッパ人の方が上、という考え方の人も多いので驚かされたことも度々。言語が違う、文化が違う、習慣が違う。戸惑うことも度々。傷つくことも度々。
異文化の中で暮らして親友と呼べる友達もできました。彼女たちとは国籍やことば、文化を超えて相互尊重という関係が築けたからだと思います。
また私が異文化の中で長いこと暮らせたのは、<日本人である>という確固たるアイデンティティーを持っていたからだと思います。
聞こえない人や聞こえない子のことを考える時、このマイノリティーという考え方がしっくりいきます。マジョリティーの中でマイノリティーとして生きていくにはアイデンティティーの確立が大切になってきます。母語を与えること。そしてその集団を与えること。これらが後々、マジョリティーの中で生きていくための自分の核となります。
もう一つ長い海外生活でわかったこと。それは<人間の心の深いところにあるもの>ってみんな同じなんだなぁ〜、っていうこと。
読んでいただきありがとうございました。
ろう難聴教育研究会 夏の大会
皆様、
私が役員をしています ろう難聴教育研究会の夏の大会が今年も開催されます。
今年は7月22日と23日です。
edh.main.jp/
どうぞいらしてください!
内容もとても興味深いものになっていると思います。
コミュニケーションって?
電車に乗っているとある青年が大きな声をあげ隣の車両からやってきました。「(ブラインドを)開けてもいいですか。」と言いながら、お客さんが座っている席のブラインドを一つ一つ開けていました。電車内が混んでいてもお構いなしのようです。私が座っている席にもやってきました。私と目がチラッと合うと「開けてもいいですか。」と言い、こちらの有無も聞かずにもうブラインドを開けていました。ブラインドを開けるということがこだわりのようです。言葉を使っていますが、コミュニケーションを取るためのものではなさそうです。
また別の日にはこんな男性にも会いました。電車の中で大きな声で駅のアナウンスをしていました。「次は○○。ご乗車有り難うございました。傘のお忘れ物が多くなっています・・・」こちらも言葉の組み立ては当っていますが、ちょっと違和感です。
またある日には優先席に座ってスマホをいじり始める人がいると、その人に対してかなりの剣幕で怒鳴り立てる男性がいました。優先席でスマホをいじってはいけないので、その男性が言っていることが正しいのですが、この言い方では言われた方は恐ろしいです。
どの場面でも電車に乗っている人たちは白い目でその人を見ていました。何も知らなければちょっとびっくりですね。でも私はそれぞれの人が抱えている課題や生きづらさ、どうしてそういうことをしてしまうのかという理由がちょっと想像できるので、その人の特性について考えたりします。
先週、NHKで発達障害についての特別番組が放送され、これから1年間の間に定期的に番組が組まれるようです。今まではそんなテーマの番組が定期的に特集されることはなかったのでびっくりです。小・中学生の15人に1人は何らかの発達障害を抱えているそうです。周りの人がその人の特性について理解できるようになり、相互尊重で暮らせるようになると良いな、と思います。
優しい御両親に育てられて・・・
ハート&コミュニケーションに御両親とお子さんがいらっしゃいました。一緒に課題を行い、最後に「そらまめくんのベッド」という絵本を読みました。そら豆は今旬ですね。スーパーにさや付きのそら豆がたくさん並んでいます。絵本の内容がリアルに伝わるように、そしてそら豆というイメージがお子さんの中にたくさん育つように、買っておいたさや付きのそら豆に手足をつけて、顔を書いて、そらまめくんがさやのふわふわベッドに寝ているところを再現しておきました。お子さんはとっても喜んでくれて、一緒にさやのふわふわの部分を触ったり、そら豆くんをベッドに寝かせたりしてくれました。絵本が好きなお子さんなので最後まで集中して聞いてくれました。素晴らしい!
絵本を読み終わった後にそのそら豆のさやを一緒にむいてお鍋で茹でました。話しかけをしながら。<そら豆>というイメージがたくさんお子さんの中に入りますように・・・
茹で上がったそら豆を食べてもらいました。気に入ってくれたようで一人で上手に皮をむいて黙々と食べていました。お子さんが食べている間に私と御両親で色々なことを話をしていると、「はい」と私にそら豆のかけらを渡してくレました。それは最後のそら豆。きっと最後のそら豆を食べる前に考えたのでしょうね。なんて優しい子に育っているんだろう。感激でした。
その様子を見ていたパパが「あれ?パパのは?」と聞くと、一瞬、ハッとした表情になって、自分の食べていたそら豆を口がら出してパパにあげようとしていました。みんなで大笑い。
そのあと感動したのはパパの気遣い。お子さんが手を洗いに行ったのだけれど、テーブルに戻ってきてもなんかソワソワ。その様子をパパが見て「爪にそら豆が入っちゃった?取ってあげるよ。おいで。」とティッシュで丁寧にその子の爪を綺麗にしていました。
あぁ、こんな優しい御両親に育てられているんだ。こんなに愛情を受けて育っているんだ。だからこんなに穏やかな子に育っているんだな。どんな子になっていくのかな。どんな大人になっていくのかな。楽しみだな〜。
私にとってもとても優しい気持ちになれたセラピーでした。有り難うございました。
その子の心が伝わるように・・・
なかなか音声言語でおしゃべりができない発達がゆっくりのお子さんがいます。お母さんはとっても心配しています。聞こえの問題もないし、器質的な問題もないし、簡単なことばの理解はできているし、コミュニケーション意欲もそこそこある。でも音声言語での表出ができません。
発達に問題がないと言われる赤ちゃんたちが1歳を過ぎ、親は発音の仕方を何も教えていないし口の中の舌の動きを見せてもいないのに、ちゃんとおしゃべりができるようになることは逆にとても不思議なことのように思われてきます。
でも、こういうお子さんたちに舌や口がよく動くように訓練したとしてもおしゃべりができるようになるか、というとそう単純なわけにはいきません。
お子さんは日々成長していく中で、伝えたいことがあるのにそれが伝わらなくて癇癪を起こすということが増えてきました。
親が音声言語にこだわってしまうとお子さんに苦しい思いをさせてしまうことがあります。親が価値観を変える必要があります。ことば=音声言語 ではなく、ことば=その子の心が伝わることが一番大事、と価値観を変えてみる。視線の使い方、仕草、表情、絵カードや写真カード、ジェスチャーも立派なことばであると。
お母さんと相談し、簡単な手話を取り入れて療育を行うことになりました。その子は私が使う手話を喜んで真似をするようになり、家庭でも手話を取り入れるようになり、少しずつ自分から表出する手話が増えてきました。
今では大好きな先生に遊んでもらいたい時は「一緒」「遊ぶ」と手話で表現することができるようになりました。
表出できる手段があるということが、その子の心にどれだけの安心感を与えることになるでしょう。
遅くなりました。ロイヤルサンセットの写真です。この写真は先週のもの。
庭のバラ
大事に育てている庭のバラ。4種類育てています。
一つはロイヤルサンセット。このバラはサンセットという名前の通り花びらの色が変わり、だんだんと夕焼けのようなオレンジ色になります。ロイヤルサンセットは今大きな蕾をつけていて、全部で300位咲く予定です。綺麗に咲いたらお知らせします。
もう一つはマッカートニーローズ。下の写真のバラです。これはとってもとってもうっとりするくらい良い匂い。バラはあまり匂いがしないものが多いらしいのですが、このバラは違います。ポール・マッカートニーに贈ったバラのようです。咲き始めは<これぞバラ!>というような感じでとても気品があります。
今度、相談室にあるお子さんとお母さんがいらっしゃいます。
一緒にバラを見られるといいな!と思っています。