『ことばの相談室』徒然

ことばやコミュニケーションについて心配や気になること、お子さんに聞こえの問題があり子育てに不安がある、発達全般について心配がある・・・などなど、国家資格を有するカウンセリングサロンです

難聴児の支援体制充実を求め、要望書を提出しました!

先日、難聴児の支援体制充実を求め、当事者とともに大臣に要望書を提出しに行きました。そのことが福祉新聞とNHKウェブニュース、NHK手話ニュースに取り上げられ、本日、福祉新聞の記事がyahooニュースにも取り上げられました!

 

 

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https://news.yahoo.co.jp/articles/2f25844010b79425bb16e2f027554b11371e78b8

リファーといわれてからの子育てどうしてる? オンライン パート2

定員いっぱいになりお断りしていたくらいのパート1に引き続きオンラインで開催されます。今回は1歳児を育てている4名の保護者。リファーと言われてからどんな風に子育てをして、どんな風に考えてきたか。そしてその結果の今は?もうすでに申し込みが来ていますので、お早めに!

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聞こえない・聞こえにくいお子さんを育てているパパの手記より

前回に引き続き、今回はT君のパパの手記です。

動画1は1歳4ヶ月で初めて練習したボタン押し聞こえ検査!1歳4ヶ月ですぐに理解してできたのにはビックリでした!聞こえたらボタンを押すって結構難しいのですが、できました。すごい!これも今までの丁寧なコミュニケーションの成果です。

次の写真はまだお座りができる前の写真。毎日、食事の前にちゃんとその食材を実物とともに伝えていたそうで、メニューが大根だった日。

動画3は公園と児童館、どっちにする?とママが写真カードを使って伝えているところ。じーっと写真カードを見て、そのカードをポイっとして、その後、公園を指さし!すごい!

*このブログでは動画をそのまま貼り付けられないみたいで、Facebookを埋め込みました。

 

(父)・T(息子 1歳5か月)

Tは20019年10月9日の深夜1時過ぎに生まれました。予定日よりも1か月半ほども早く、前日の夜からただおろおろと付き添うだけの父でしたが、出産にも立ち会い、Tが無事に生まれ、徹夜明けの朝、一人でにやにやしながら家に帰ったことをよく覚えています。

2020年はコロナ禍もあり、平常ではない1年となりましたが、私個人としては、リモートワークなどの影響もあり、Tと、家族と、多くの時間を共に過ごすことができ、ひよこ組のグループ活動や個別相談にも1年を通して参加させていただくことができました。

Tが生まれて1年5か月、贔屓目に見てとてもかわいく育っています。このような時期に、こうして振り返る機会を持つことができて有難く思います。

 

Tとのコミュニケーションで大事にしてきたこと

・大きな声と大きなリアクション

・できるだけ、手話を使い、説明する

・いっぱい笑わせる

Tとのコミュニケーションで大事なことは全て、先生方から教わりましたので、できないなりに気を付けたことだけ、書きたいと思います。

Tは多少なりとも音が入る状態なので、できるだけ大きな声で話しかけるようにしました。関根先生を参考に、少しでも、Tに音が届くようにと意識をしています、また、目の人であるTはオーバーなリアクションや表情の変化に気づいてくれます。寝たふり→目を見開く、とすると爆笑したりします。変顔も大好きです。表情筋や全身を使って見せています。

また、手話についても、Tに話しかけること、特に、日々の繰り返しにあたるものはできるだけ、使うようにしました。グループ活動の中で、指差しの大切さや、二語文をつくることなどを教わり、できるだけ意識して取り組んだと思います。生活リズムが固まるとともに使う手話も固まるので、T相手には手話と大きな声で話しかけています。そして、萌子先生から手話の時間に色々な場面で「子供には難しいからちゃんと説明すること」を教わりました。「びしょびしょになるから、お水遊びできないよ」「ご飯の時は、おもちゃを頂戴」などなど、「~~だから」「~~の時」「~~したら」というような手話は頻繁に使いました。

とにかく明るく楽しく過ごしてもらいたいので、Tが笑ってくれることを探して、繰り返し、Tが飽きるまでやりました。笑ってくれることをするのが、コミュニケーションの第一指針だったと思います。

 

Tとの生活習慣で大事にしてきたこと

・Tの生活をどうするかを家族で話し合う

・Tの仕事を作る

・いっぱいかわいがる。

生活リズムはできるだけ整えた方がよいということで、食事や睡眠の頻度や感覚、遊びに行く時間帯、イレギュラーになりそうな日の対応、などなど、どうするかはできるだけ話し合って一緒に決めました。もう初めのころのことは思いだせないのですが、合わなくなってきたかな、とか、将来的にどうしたいか、などを踏まえて都度話し合うようにしました。Tの生活に対し、家族で同じ認識を持っていることは大事だったと思います。具体のやり方を定め、夫婦同じ方法を意識し、やり方の工夫などを共有して発展させていきました。

併せて、Tの中でやりたいことができてくると、それを尊重し、毎日やらせるようにしました(Tの仕事)。具体的には、朝起きてカーテンを開けること、部屋の電気のスイッチを押すこと、おむつをごみ袋に入れてごみ箱までもっていって捨てること、最近ではトイレまでモノを捨てに行くこと、などなど、(飽きてやめるものもありましたが)Tの中での習慣づけにはなったかと思います。

最後に、基本的には家にいることのできた今年は、毎日「かわいいね」と声をかけ、頭をなで、スキンシップをして抱っこして、、、、、ととにかくかわいがりました。Tの生活習慣?かどうかはわかりませんが、きっとTは自分がかわいいことに疑問を持たないくらい、言われています。

 

父として努力してきたこと

・お風呂と寝かしつけ

・生活の記録、日々のエピソードに目を向ける

・無理をしすぎないこと

お風呂はできるだけ毎日入れるようにしました。Tがお風呂の中でつかまり立ちができるようになって以降は、お風呂の中で如何にTを楽しませるかについては日々研鑽を重ねました。おもちゃで遊んだり、表情だけのいないいないばあをしたり、楽しいお風呂を心掛けました。寝かしつけは生活リズムにも大きくかかわるので、色々な方法で抱っこしたり、そのまま寝転がしてみたり、寝てしまうまで遊びに付き合ったりと、やり方や時間帯などを家族で相談しながら続けました。

春頃、Tが6、7か月の頃から、生活の記録を書くようになりました。妻とは毎日「今日はどうだった?」と会話をし、日々のTのできたこと、したこと、反応したこと、探しながら生活していました。Tとのコミュニケーションにおいて、まだ「あうあう」言っているだけのTが何を考えているのか、何をしたいのか、子供の気持ちを代弁することの重要性を、先生方からも教わりましたが、私は正直、苦手です。(大人相手でもヒトの気持ちを考えるのは苦手ですが)妻にはたくさん教えて貰いました。「こういうことじゃないかな」と聞くたびに「なるほど!」と納得し、分かっていたようにTに話しかける日々でしたが、それでも、生活の記録を書く中で、Tのことをたくさん想像できるようになったかと思います。振り返ってとても大切なことで、自分の成長にもつながったと考えています。

これらのことについて、努力の逆のようですが、日々の生活の中で無理はしないようにしていました。無理すると続かない性格だからです。コミュニケーションなども、できるだけ頑張りますが、できなくても仕方がない。次、気付いたときはやろう。生活の記録も今日は何も発見がなかったな、明日は何かをしてみよう、と。できないことを責めず今日ダメなら明日頑張ろうと、良い意味で(?)自分に甘くあるようにしました。先は長く、できることにも限りがあるので、無理せずをモットーに。

 

父としての変化

・自分のペースでない生活ができる

・待つ、ゆっくり歩く

・目標設定

大きな変化は人のペースに合わせて生活ができるようになったことだと思います。生活リズムについてもそうですし、Tが、大人から見ればよく分からないことをして、よく分からないところで反応して、そういった時間にのんびり合わせることが少しずつ当たり前になってきました。また、赤ん坊であり、音のない生活、視界に入るものが大切なTの生活は、当然、私たちと異なるものですが、少しだけ、その世界に入らせてもらえるようになった気がします。ちょっとした音に気付き、Tが何を見ているかに目を向け、何に興味があるのか、どうして興味があるのか、わかりませんが、とりあえず共感してみる、一緒にやってみる、「あだー」と一緒に声を出してみる。それが楽しくなった1年半でした。

その過程でせっかちな自分ですが、のんびりできるようになりました。Tがするまで待つ、何かしている間は待つ、外に出たときは色々視て、聞けるように、ゆっくり歩く(それでもまだ速いと言われますが)そんな習慣も身につきました。

目標について。Tの耳のことが分かったとき、私は「自分が死んだあとどうしよう」と思いました。「どうにかして、一人で生きていけるようにしなくてはいけない」「仕事に繋がる技能を身に付けさせなくてはいけない」そのために必要なことをしよう、それができれば問題ない、と。そんな目標設定は、このひよこ組の活動を通して大きく変わりました。萌子先生や早瀬先生のような偉大なロールモデルの方々と接したことも大きかったです。耳が聞こえないだけで、Tは何でもできて、しっかり考えて、理解して、興味を持ち、近所のコンビニの店員さんや、児童館の職員さん、ひよこ組の皆さんのことも認識して、コミュニケーションを取ろうとし、かわいがられている姿を見てきたからです。今は「Tが人とコミュニケーションをできる力が言葉の面でも、人間性の面でも育つような環境を作ろう」と目標設定しています。今では、当たり前のことですが、Tは立派な一人の人間で、個性豊かで、意志が強く、親にとってはとてもとてもかわいらしい存在で、この先間違いなく父より立派な人間になるだろうと確信しています。そう思うようになったことが一番の変化です。

 

最後に、ひよこ組の先生方、一緒に活動した皆さんに感謝を、我が家に生まれてきて、健康に楽しく過ごしてくれたTに感謝を、何より一緒に生活し、多くの場面で、助け、教え、導いてくれた妻に感謝を申し上げます。ありがとうございました。

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上農正剛先生によるオンライン研修会 日本語習得についてコース

聞こえない子どもを持つ保護者のためのセミナー

個別テーマコース「日本語習得」

第1期 申し込み受付けのお知らせ

 

「どうやって日本語を身につけさせればいいのか」という問題は聞こえない子どもを持つすべての親御さんにとって共通した大きな悩みであり、将来のことを考えた場合、一番の心配事ではないでしょうか。耳が聞こえない、聞こえにくい子どもたちは聞こえる子どもと同じように、耳から日本語を聞いて身につけることは困難です。たとえ人工内耳の手術をしたとしても、聴力が聞こえる子どもと全く同じレベルにまで改善されない場合、事情は同じです。確かに手話を導入すればコミュニケーションは通じるようになります。しかし、その場合も、手話ができれば、日本語の読み書きもできるようになるわけではありません。では、どのようにすれば聞こえない子どもが日本語をしっかり身につけることができるのでしょうか。本セミナーではその問題への対応策を専門家が理論面と実践面の両面から、豊富な経験を踏まえ、わかりやすくお話しします。

                                                                                                                    

主催:江副学園言語教育研究所ろう教育部門

講師:江副学園言語教育研究所ろう教育部門室長 上農正剛(前九州保健福祉大学教授)

実施日時:第1回 4月04日(日)午前10時~11時30分

第2回 4月18日(日)午前10時~11時30分

     第3回 4月25日(日)午前10時~11時30分

実施方法:ZOOMミーティング利用のオンライン講義

受講料:全3回分一括納入 計4,500円(消費税別)

支払い方法:指定銀行口座への振り込み(「申込書」を受理した後、振込先口座をお知らせします)

申し込み方法:①下記メールアドレスに保護者ご氏名と「聞こえない子どもを持つ保護者のためのセミナー」「個別テーマコース・日本語習得」受講希望と書いたメールを送信してください。

          送信先メールアドレス kazuma65kazuma@gmail.com

②こちらから「申込書」のフォームをメールで返送します。

③「申込書」の必要事項を記入し、再度、添付ファイルにしてメールで提出してください。

④「申込書」を提出された後、受理連絡と同時に振込先銀行口座をお知らせしますので、受講料を納入して下さい。

⑤振り込みが確認できた方にはセミナー前日にZOOMミーティングに参加するためのIDとパスワードの通知メールを送信します。

◎上記第1期セミナー申し込み受付締切日 3月29日(月)

セミナーの内容】

第1回 日本語の習得とは何か

(1)言語獲得の仕組みから見た場合の「日本語」習得の意味/獲得と習得

(2)「日本語」という場合、何を指しているのか―音声言語と書記言語と手話言語/自然言語

(3)ろう教育における言語教育の歴史と問題点―書記日本語はどのように教えられてきたか

(4)「バイリンガル教育」における書記日本語の習得の問題

第2回 教科学習における読み書き能力(書記日本語)の意味

(1)教科学習とは何か-その実際の状況

(2)教科学習の前提条件―何が求められているか/就学“前”の日本語力(文法と語彙)

(3)教科学習における「生活言語」と「学習言語」の関係

(4)教科学習の「積み残し」問題の深刻な実状/聾学校による違い/インテの状況

第3回 読み書きの力(書記日本語力)をどうやって育てるか(具体的対応策)

(1)書記日本語力の構成要素

(2)書記日本語力の習得過程―学習の段階的スケジュール

(3)書記日本語の語彙の構築―指文字の習得/絵本の読み聞かせ、写真日記、絵日記、絵じてんの活用

(4)動詞の活用―どのように学んでいけばいいか(準備段階の対応)

(5)助詞の運用―どのように学んでいけばいいか(準備段階の対応)

上農正剛先生によるオンライン研修会 基礎コース

聞こえない子どもを持つ保護者のためのセミナー

基礎コース「はじめの基礎知識」

第1期 申し込み受付けのお知らせ

 

 生まれた子どもが「聞こえない」「聞こえにくい」ということがわかった時、親御さんはどのような状況に置かれるでしょうか?ただでさえショックを受けている所に、人工内耳を勧められたり、一方で手話の話が耳に入ってきたりします。その手話にも対応手話と日本手話という2種類があるという話があったりします。医療センターで言語聴覚士から言語訓練を受けた方がいいのか、聾学校の乳幼児教育相談で指導を受けた方がいいのか?そもそも日本語はどうしたら身につくのだろうか?わからないことだらけではないでしょうか。しかし、その一つ一つの問題に対して各御家庭なりに判断、選択して前に進んでいかなければならないのが現実です。その判断や選択を間違わないようにするためには最低限知っておく必要のある基礎的知識があります。この知識があるかないかで専門家や経験者の話の受け取り方が大きく違ってきます。本セミナーではその基礎知識について丁寧にわかりやすくお話しします。

 

主催:江副学園言語教育研究所ろう教育部門

講師:江副学園言語教育研究所ろう教育部門室長 上農正剛(前九州保健福祉大学教授)

5月にも同内容セミナーの第2期募集をおこないます。今回ご都合のつかない方は第2期のセミナーをご利用ください。

実施日時:第1回 4月03日(土)午前10時~11時30分

第2回 4月17日(土)午前10時~11時30分

     第3回 4月24日(土)午前10時~11時30分

実施方法:ZOOMミーティング利用のオンライン講義

受講料:全3回分一括納入 計4,500円(消費税別)

支払い方法:指定銀行口座への振り込み(「申込書」を受理した後、振込先口座をお知らせします)

申し込み方法: ①下記メールアドレスに保護者ご氏名と「聞こえない子どもを持つ保護者のためのセミナー」「基礎コース」「はじめの基礎知識」受講希望と書いたメールを送信してください。

          送信先メールアドレス kazuma65kazuma@gmail.com

②こちらから「申込書」のフォームをメールで返送します。

③「申込書」の必要事項を記入し、添付ファイルにしてメールで提出してください。

④「申込書」を提出された後、受理連絡と同時に振込先銀行口座をお知らせしますので、受講料を納入して下さい。

⑤振り込みが確認できた方にはセミナー前日にZOOMミーティングに参加するためのIDとパスワードの通知メールを送信します。

 

上記第1期セミナー申し込み受付締切日 3月29日(月)

 

【「基礎知識」コースの内容】

第1回 ことばとは何か

(1)ことばを身につける仕組み(言語獲得のメカニズム)/「自然言語」ということの意味

(2)聞こえる子どもの言語獲得-トップダウンボトムアップ

(3)聞こえない子どもの言語獲得-何が最も大切な問題なのか

(4)言語獲得の原動力-子ども自身の安心・関心・意欲の大切さ

第2回 聞こえない子どもの子育てに関する情報の理解と活用の仕方

(1)保護者の判断・選択の仕方-「たまたま」というきっかけの問題

(2)専門家や当事者の「助言」「体験談」-理解する際の注意点

(3)すべての対応には「条件」と「効用」が付随している                                                                 

(4)人工内耳を選択する際、知っておくべきこと

(5)手話を使用する際、知っておくべきこと

第3回 「目の前の問題」への対応と「将来への問題」に対する準備

(1)「目の前の問題」と「将来への問題」の関係-安易な対応に陥らないようにするために

(2)子育ての「目的」と「目標」を持とう-それは各家庭ごとに違う

(3)「将来の問題」に対する準備-どのような現実が待っているかを知っておこう

(4)就学前の聞こえない子どもの子育てで最も大事なこと-障害認識とアイデンティティの基盤