『ことばの相談室』徒然

ことばやコミュニケーションについて心配や気になること、お子さんに聞こえの問題があり子育てに不安がある、発達全般について心配がある・・・などなど、国家資格を有するカウンセリングサロンです

子どもって おもしろい!

 息子たちが小さかった時、一緒に国立博物館へ行きました。その時に「ダーウィンの進化論」の特別展が開催されていたのです。猿から人間への進化が分かりやすく説明されていました。それを見て帰って来て、息子が「お母さんって、前、猿だったんだよね。」と言いました。もう、笑っちゃって、笑っちゃって。私は小さい息子にとって、かなり多くの時間を生きている大人。その息子の時間の概念は、私とは違う。息子にとって私はダーウィンの猿と同じくらい大昔の人なんだな、と思いました。

 それから、パンダについてのテレビを見ていた時、小さかった息子が「お母さんがパンダだったら、嫌いなオスに噛み付くね」と言いました。「えっ?なんで?」と聞くと、「パンダは大人しく見えるけど、嫌いなパンダが近づいてくると、噛み付くんだって。」はぁ〜、私のこと良く観察してるな、と思いました。

 小さかった2番目の息子に「お母さんのこと好き?」と聞いたら、「うん、100パーセント!」なんて可愛らしい!

  子どもって本当におもしろい!

  

  ある5歳児のお子さんとのセラピーで大笑いすることがありました。そのお子さんは指差しの理解ができるようになってきました。指をさした方向を一緒に見る力ってコミュニケーション力にはすっごく大事なこと。私が机の下に落ちたビー玉を指差しすると、チラッと見てくれたような、見てくれないような。でも、全く拾おうとする気配がないので、きっと分からなかったんだな、と思っていると、あら?何か机の下で足がゴソゴソ動いている。見てみると、足でビー玉を拾っている!もう、大笑い!大爆笑! ちゃんと指差し理解できてる〜!ハナマルです。

 

 雛人形を飾りました。これは本当にアンティークで、私が生まれた時に祖父母に買ってもらったもの。私はひな祭りが行事の中で一番好き!

 

ことばの相談室 ハート&コミュニケーション

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聞こえない人は 目の人

 先週末はろう難聴教育研究会の研究会が開かれました。2日間の研究会だったのですが、その中で一緒に役員をされている筑波技術大学の井上先生のお話がありました。

 ろう難聴教育研究会を長年されている先生方は、皆さん熱心で優秀な方々ばかり。大変勉強になります。現在の会長は長谷川洋先生。以前はろう者の伊藤政雄先生が会長でした。

 井上先生は現在58歳。赤ちゃんの時に麻疹で失聴。4歳上のお兄さんも同時に麻疹にかかり失聴したとのことでした。

 ご両親は自己流で聞こえない子の子育てをされたようで、とにかく小さい時から文字を見せ、本に親しませ、口形を見せてのコミュニケーション。家中の全ての物に、その物の名前が書かれている札が貼られていたそうです。漫画本はルビが付いているので小さい頃はたくさん読んだ、とおっしゃっていました。家族の会話は筆談だったそうで、そのおかげで井上先生は助詞の間違いなどは小さい頃からなかったそうです。

 手話に出会ったのは博士号を取った時の祝賀会で、森壮也さんに会ったのがきっかけだったそう。手話に出会ってから、人生が豊かになった、という内容でした。

 井上先生の第一言語は書記日本語とのことでした。日本語の読み書きの力は大切ですね。そして、やっぱり聞こえない人は<目の人>だ、と講演会を聞きながら思いました。

 

 ラクレットのチーズが安く売られていたので購入。茹でたじゃがいもに熱々をかけていただきます。寒い冬の間の楽しみの一つです。

 

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プロセスを大事に

 発達の遅れがあり、目が合いにくい年長さんのお子さんの相談。ことばでの表出はまだなく、欲しいものがあると指差しで要求。大人しくて素直なお子さんなので家庭では困ったことがないとのこと。お母さんなのでお子さんの伝えたいことはよく分かる。

 例えばこんなお話がありました。家に帰って来ると必ず冷蔵庫の前に行き指差し。お母さんは大好きなウインナーを要求されているとすぐに分かります。お母さんは「ウインナーを食べたいの?」とその子の言いたいことを代弁。その子はお母さんに指差しで伝えると、テーブルについて出てくるのを待っている。ウインナーはいつも冷蔵庫に常備。気長に待てるお子さんなので、出てくるまでジッと待っていて、出てきたウインナーを食べる。家庭では困ったことがない。代弁もしているし、それ以上、どうすればいいのかよく分からない、とのこと。

 そのお母さんにお伝えしたことは、もし、余裕があったら、次回はウインナーをわざと常備せず、一緒に買いに行ってみたらどうかな?ということでした。お母さんはその提案に最初は「?」。いつもあると思っていたウインナーがなかったら、ビックリでしょうね。でも、そういうハッとする経験ってとっても大事です。なぜなら、心が動く経験だからです。

 いつも買っているウインナーの写真を撮っておき、写真カードを作る。その子が冷蔵庫を指差しして要求してきたら、冷蔵庫を開けて、一緒にウインナーを探す。「ウインナー ないね。」とウインナーの写真を見せて、「じゃぁ、一緒に買いに行こう。」スーパーの写真も作っておき、この時の買い物はウインナーだけにする。

 買い物に行く前、行く途中にウインナーの写真を見せる。「ウインナー買うんだよ。」ということばかけも一緒に。そして、スーパーに着いたら、スーパーの写真を見せ、マッチング。そしてウインナーの写真を見せ「ウインナーを探そうね。」と言いながら、たくさんの商品が並んでいるスーパーの中でウインナーを一緒に探してみる。ウインナーがあったらすかさず写真カードで再びマッチング。「ウインナーおんなじだね。買おうね。」とカゴに入れてレジに持って行く。家に帰ったら、そのウインナーを袋から出して一緒に茹でる。お皿に出して、「さあ、召し上がれ!」 食べ終わった後にもう一度ウインナーの写真を見せて、「ウインナー食べたね。」など振り返り。ウインナーの写真カードやスーパーの写真カードは、子どもの手の届くところにいつも置いておいてあげること。そんなことをお話ししました。

 

 一連のプロセスを見せること。それは「ウインナー」というイメージをたくさんその子の中に育みます。ウインナーはいつも冷蔵庫にあるものではなく、こんな風に買いに行くものという経験は、将来の自立のことを考えた時にとても大事なことでしょう。そして、繰り返すうちに、だんだんと色々なことがその子の中で結びついてゆき、その内、ウインナーを食べたい時、買いたい時、茹でたい時、食べた後などに写真カードをお母さんに見せにくるようになるかも知れません。写真カードがその子の中でことばとして使われるようになるのです。写真カードは本当に便利。そこになくても写真を使って何度でもコミュニケーションが取れるのですから。

 

 お母さんはその提案を聞き、こんな感想。「ウインナーが袋に入っている、ということもきっと知りません。スーパーで買うことももちろん知りません。茹でることも知らないし、お皿に出てきたウインナーが彼の中でのウインナーでした。やってみます!写真カードも作ってみます。」

どうだったかな?お母さんからの報告を聞くのが楽しみ!

 

うちのワンコ。耳を立てて何かを見てる!

 

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本物のことばを育むために

 以前こんなお子さんに会いました。お子さんは発達に遅れがあり、小さい頃から<言語訓練>に通っていました。お母さんは熱心な方で、お家でもその<言語訓練>を続けていたのだと思います。いつも使っている絵カードでは、「リンゴ どれ?」と言うとちゃ〜んとリンゴの絵カードを取ってくれます。でも、でも、本物のリンゴを見ても<リンゴ>を選べないのです。うわ〜っ、っと頭を抱えてしまいました。

 こんなお子さんもいました。目の前にあるたくさんの絵カードの中から「遠足」というカードを取ることができます。でも、でも、そのお子さんは本当の遠足に行ったことがない!うわ〜っ、っとこれまた頭を抱えてしまいました。

 

 ことばを育むイコール絵カードではありません。それはナンセンスで短絡的な考え方です。それは私たちの育ちを振り返ってみれば分かることでしょう。ことばが遅れているというと、絵カードで言語訓練!なんて発想になってしまいがちですが、ことばはそんなことで確実にその子の中に育まれることにはなりません。

 ことばは全体発達の一部です。その子の発達全体を見る必要もあります。身体の発達、心の発達、知的な面での発達、手先の発達を土台にし、ことばの発達があります。ことばだけが遅れている、ということはほとんどありません。そういう見方も大切になってきます。

  絵カードでは取れるけれど、本物では分からない。そんな子どもに育てないように、日々の生活の関わりの中でのコミュニケーションを大事にしていく。

 リンゴのイメージをその子の中にたくさん育てたいのなら、リンゴの絵本(リアルなリンゴの絵やリンゴの写真の絵本が良いです。)を見ながら「リンゴを買いに行こうね。」と一緒にスーパーに買い物に行く。スーパーにはたくさんの色のリンゴが売られています。「赤いリンゴだね。黄色いリンゴもあるよ。」など一緒に見ながら、話しかけをしながらリンゴを選ぶ。選んだリンゴを買い、家に戻り、さっきの絵本とマッチングする。そして、子どもの目の前でリンゴをむく。皮をむく時に長〜く連なるようにしてあげると子供はきっと大喜び。そして食べやすい大きさに切って、いただきます!食べながら、「美味しいね。甘いね。いい匂いだね。」などたくさんの話しかけができます。その子の中にどれだけリンゴのイメージを植え付けられるかが大事なポイント。イメージがことばの概念をつくるのですから。

 一回の経験だけでは無理です。繰り返し、繰り返しが大切。そして繰り返している内に、「リンゴを食べよう」という話しかけだけで、リンゴを冷蔵庫から選んで取り出してママに渡すことができるようになるでしょう。あるいは、スーパーのあの大きな空間の中のたくさんの刺激がある中で、「リンゴ」を選んで買うことができるようになるでしょう。あるいは見せてきた絵本のリンゴを見ながら食べる真似をしてくれるようになるでしょう。

 

 本物のことばを育むための手間と時間を惜しまないように。そしてこういう関わりは全ての子どもにとって大事なことです。

 

うちのニャンコ。寒いから布団をかぶって寝ています。

 

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突発性難聴について と 2月の空き状況

明けましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いします。

 

 お正月に久しぶりに妹に会った時、妹から「突発性難聴についてもブログに書いて。」と言われました。私の周りでも、妹の周りでも結構この病気の方がいるのですよね。芸能人でも堂本剛突発性難聴を患っている、ということでした。実は私も突発性難聴を経験したひとりです。

 突発性ということば通り、ある日突然耳が聞こえなくなるのです。聞こえなくなる耳は大抵が片耳。そしていつから耳が聞こえなくなったかがはっきりしています。

 夜寝ている時にごう音で目が覚めました。夜中に工事が始まったのかとな、と思っていると、その音源はなんと自分の耳!耳鳴りだったのです。そのごう音とともに耳が聞こえなくなっていました。突然聞こえなくなると本当に恐ろしいものです。

 こういう仕事をしているので直ぐに突発性難聴だと判断し、次の日の朝に直ぐに耳鼻科へ。突発性難聴になって72時間以内に治療を始めると治る可能性が高くなります。早ければ早いほど良いのです。突然聞こえにくくなるのだから、また突然聞こえるようになるのだろう、なんて思わないことです。治療開始が遅れれば遅れるほど治りにくくなってしまいます。

 実は私は2回も突発性難聴を経験しました。片耳ずつ。運よく信頼できる耳鼻科のお医者さんの元で早期治療を開始することができ、完治することができました。また、聞こえなくなる他にめまいを起こすこともあります。その場合はメニエール病という病気が疑われます。

 2回とも片耳40dBの難聴になっていたのですが、40dBってこんなに聞こえないんだぁ!とびっくりしました。そして常にある耳鳴り。テレビから聞こえてくる女性の甲高い声がすっごく不快で、目の前で喋っている家族の声が聞こえ難い!

 耳鳴りと言えば、こんな嘘のような本当の話があります。以前、聞こえない人で耳鳴りで困っている、という方がいました。耳鼻科のお医者さんに相談したら「耳が聞こえないのにどうして耳鳴りが聞こえるの?」なんて言われた、とのこと。うわっ!こんなことを言う専門のお医者さんがいるんだ!とビックリ。聴力に関係なく耳鳴りは起こるのです。内耳の神経の問題ですからね。

 私の2回の体験から、どちらも疲労とストレスがあり、生活が不規則で、少し風邪を引いていました。血行が悪かったりすることも良くないと思います。

 皆さん、もし耳が聞こえ難いな、と思ったら、直ぐに耳鼻科へ行ってくださいね。早期治療と絶対安静。この二つが大事です。

 

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 ハート&コミュニケーション2月の空き状況

 2月3日(土)14時

 2月10日(土)14時/16時

 2月11日(日)14時/16時

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フランスのクリスマス

今日はクリスマスイブですね。皆さんいかがお過ごしですか?

 

私が以前住んでいたストラスブールという街はドイツとの国境にあり、ドイツ文化の影響を受けています。クリスマス1ヶ月前になると<マルシェドノエル>というクリスマス市場が立ち並び、ヨーロッパの気分が落ち込んでしまう長い灰色の冬に華やかな彩りを与えてくれます。そのクリスマス市場ではクリスマス用の飾り、もみの木が売られ、ヴァンショという暖かい甘いワインを飲みながらその雰囲気を楽しみます。

 

クリスマスが近づくと家ではクリスマスのクッキーを作り始めます。私のお友達が下宿していた先のフランス人のおばさんは、数種類のクッキーを何百個も焼いていました。

 

クリスマスは家族みんなが集まってお祝いし、フランス人が大好きなフォアグラやスモークサーモン、生牡蠣などを前菜にいただき、シャンパンで乾杯!

 

クリスマスイブの夜には誰一人街を歩いている人がいなくなり、タクシーも路面電車も停まってしまい街は本当に閑散としてしまいます。皆、家に帰り、お祝いをするのです。

 

一度、パリの修道院でクリスマスを過ごしたことがあります。シスターと一緒にミサに参加し、キリストの生誕のお祝いをしました。修道院なのでそんなご馳走はなかったのですが、フランスはキリスト教の国なんだなぁ、なんて改めて思いました。

 

子どもたちが待ち焦がれているサンタクロース。私のお友達のフランス人は、ご主人が子ども達に分からないようにサンタの仮装をし、外に長い梯子をかけ、3階の窓から侵入。子ども達はもうビックリ!泣き出す子もいたようです。

 

本当はことばのことについて書くつもりだったのですが、クリスマスの話に逸れてしまいました。次回、書きます。

それでは皆さん、メリークリスマス!

 

家では昨日早々とお祝いをしてしまいました!

 

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話しかけのコツ

小さいお子さんのことばを育むための大事なことの一つに、豊かなことばかけを意識することが挙げられます。でも、ただ話しかけ続ければいい、というものでもないのです。私たちだって隣でずっと実況中継のように話しかけられ続けられたら聞く気持ちが失せてしまうでしょう。大切なことは<子どもの気持ちに寄り添う>ということ。そして<間をとる>ということ。

 

子どもの気持ちに寄り添うことのヒントとして、その子の視線の先を一緒に見る、ということが大切です。例えば一緒にお花を見ていたとします。ママはそのお花に目をやっていたとしても、子どもはもしかしたら葉っぱについているてんとう虫を見ているかも知れません。そんな時に「お花だよ。きれいね。」とことばかけをしたとしても、その子の中には入っていきません。もしかしたら見ているてんとう虫を<お花>と覚えてしまうかも知れません。その子の視線の高さに自分の視線を置き、子どもの視線の先にある物をたどり、子どもと同じ物を見て、そこに話しかけをしていきます。

 

そして一つことばをかけたら<間をとる>のです。弾丸実況中継で話しかけても、小さいお子さんでは脳が処理できないのです。ゆっくり間を置いて話しかけてあげてください。ゆっくり・はっきり・繰り返し が大切。

 

一つのことばを表出できるようになるには800回聞く必要がある、という研究があるそうです。話しかけって大事なのです。ことば掛けをするのが何だか難しいなぁ〜、と思われる方は、毎日必ず繰り返されること。例えば、靴を履く、着替える、お風呂に入る、オムツを替える、など… その時のことばかけを毎日丁寧に行ってみると良いと思います。

 

ことばかけなどをせずに無言で靴を履かせて1年後。丁寧なことば掛けをしながら靴を履かせて1年後。どれだけことばの育ちが違ってくることでしょう。

 

もうすぐクリスマス。今年もシクラメンを買いました。華やかな色と姿に癒されます。

 

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