『ことばの相談室』徒然

ことばやコミュニケーションについて心配や気になること、お子さんに聞こえの問題があり子育てに不安がある、発達全般について心配がある・・・などなど、国家資格を有するカウンセリングサロンです

新スクでリファーとなり、コロナで相談にいけない親御さんへ 2

新スクでリファーとなったけれども、まだ本当に聞こえないのか、どのくらい聞こえにくいのかはわかりません。聞こえていても、聞こえていなくても、聞こえにくくても、子どもは子ども。ママとパパが好き。愛されたい、愛したいと思って生まれてきました。そして、自分はそのままで完璧だと思っているはずです。自分が障害をもっているとかなんて思ってもいない。

 

三つ子の魂百までと言います。本当にそうなのです。この3歳までの大事な時期に人格の基礎ができあがります。他人に対する信頼や、自己肯定感、自信なども、このまだ記憶に残らないような3歳までの親との愛着の関係に源があります。でも、もしかしたら聞こえない・聞こえにくいことがあるかも知れない。その場合、聞こえる子と同じコミュニケーション体験ではその愛着関係が育たない可能性がある。音声言語だけでは100%届かない。でも、耳は聞こえない・聞こえにくいかも知れないけれど、目は見える。そうしたらこちらがその子に寄り添う必要がある。そう考えると、聞こえない・聞こえにくい子どもに手話を使うことは自然であると思うのです。

 

昨日、今は普通の子育てをすれば良いのです、とお伝えしました。まだ赤ちゃんが寝ていることがおおい時期に、ちょっと手話の勉強を始めてみましょう。新生児の赤ちゃんにはまだそんなに難しい手話は必要ないですね。「ミルクだよ」「おむつを替えるよ」「起きたね」「おはよう」。すぐに使うことになりそうな手話は覚えてしまいましょう。

そして音声とともに手を動かして早速使ってみましょう。楽しいですよ。

NHKのみんなの手話とか見ても楽しいかも!日本語だけよりも、フランス語や英語、中国語もできたら世界が広がって楽しい!それと同じこと。

 

聞こえる子は生まれてすぐからママの声を聞いています。同じように聞こえない・聞こえにくい子にもできるだけ早くから、手話を見せてあげてください。

最初は一方通行のコミュニケーションかも知れないけれど、数ヶ月経つと、双方向でのコミュニケーションができるようになりますよ。それを楽しみに。

 

また、明日、続きを書きますね〜!

 

Kotoba-heart.com ハート&コミュニケーション  関根久美子

 

*木島先生が会長をされている「難聴児支援教材研究会 nanchosien.com」で親子手話辞典を購入できます。

 

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新スクでリファーとなり、コロナで相談にいけない親御さんへ 1

緊急事態宣言が出され、ろう学校でも相談を受けられなくなってしまいました。きっとコロナとリファーとで大変不安な毎日を過ごされていらっしゃる方がおられるのだろうな、と想像します。

毎日、少しずつ、そんな不安な中で、今、どんなことをすれば良いのかを発信していこうかな、と思っています。

 宣言が出される前に駆け込みで電話をくださった親御さんがいらっしゃいました。補聴器のことを心配されていました。今、ネットで検索すると、生後3ヶ月で確定診断、6ヶ月までに補聴器、1歳には人工内耳などということが言われているそうですが、その情報を鵜呑みにしないでください。焦らないで。

 まず、赤ちゃんの聴力ですが、生後6ヶ月ではまだはっきりした聴力レベルがわからないことがおおく、きちんとした聴力がわかるようになるには、その子の全体発達(身体の育ち、心の育ち、知的な面での育ち)と深い関わりがあります。きちんとした聴力レベルがわからないのに補聴器をつけてしまうと、もしかしたら本当はもっと聞こえているのに、補聴器で大きな音を入れることで、その子の耳に負担がかかり、騒音性の難聴になってしまうかもしれません。たかが1ヶ月、2ヶ月、補聴器をするのが遅れてしまったとしても、人生100年と考えると、そんなに大きな違いはありません。だから、焦らないで。

 今、できることをしてください。

 目の前にいる赤ちゃんに笑顔で接してあげてください。もし、心が「リファー」と言われて不安で不安で仕方がなかったとしても。生まれてすぐの赤ちゃんはみな、寝ていることがおおいですね。だから今は普通の子育てをすれば良いのです。ミルクで泣いたらミルクをあげる。おむつで泣いたら、おむつを取り替える。ぐずったら抱っこしてあげる。これで良いのです。「泣いて訴えれば応えてもらえる」このコミュニケーションの体験を積み重ねることで、信頼しても良い、命を預けても良い特別な人がいる、ということがわかってきます。その体験はこれから生きていく上でとても大事な大事な体験。そして、ときどきチラッと目を開けることがありますね。そうしたら、笑顔で応えてあげてください。この時期の体験は言葉を介してのコミュニケーションではないから、記憶には残らないかもしれないけれど、やっぱり赤ちゃんの原風景の中に残るのです。

 神秘的な進化の過程をそのまま再現しながら生まれてきてくれた命。耳のことは気になるけれど、もし、聞こえなかったとしても、聞こえにくかったとしても、今、やるべきことをしていけば大丈夫。

 だから、これから少しずつ、毎日伝えていきますね〜。

 

 ハート&コミュニケーション 関根久美子

 Kotoba-heart.com

 

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あるツイッターの記事から

知り合いのS Tの方から、私のことを今井さんが話しているよ、と連絡をいただきました。

1月に、今井さんがろう学校に視察にいらした時、お会いし、お話をさせていただきました。

この教えていただいた記事(https://twitter.com/tafumi1717/status/1233993225418895360?s=20)の中で、書き方でちょっと気になった部分があったので投稿します。多分今井さんは、そういう意味で言っていたのではないと思われます。

 

まず、今井さんは聞こえないお子さんを育てています。今井さんのおかげで、自民党難聴対策推進議員連盟の提案の中に「手話」ということばが入りました。もしかしたら今井さんがいなかったら、ろう学校はなくなる方向になっていたかもしれません。本当に良かった。

 

今井さんとお話しさせていただいた時、

・0歳児の支援が大切であり、この入り口でその親子の将来が決まってしまうと言っても過言ではないこと。

・親御さんに聞こえない・聞こえにくいとはどういうことかを理解してもらうことが、全ての土台になること。

・親と子どもの愛着関係の構築には、子どもが聞こえないので、音声のみのコミュニケーションでは限界があること。

・0歳から3歳までの時期にそれが構築されなくては、大きくなってから自己肯定感が育たなく大変になってしまうこと。(これはどんな子にとってもそうですね。発達障害を抱えていても、肢体不自由を抱えていても、知的障害を抱えていても、聞こえても、聞こえなくても、聞こえにくくても、同じなんです。)

・その大切な時期に、子どもが聞こえない・聞こえにくいのだから、聞こえる子と同じコミュニケーション体験では、親子の愛着関係が育たない恐れがあること。

・聞こえに着目するだけではダメで、子ども全体をみれる視点が必要なこと。

・どんなに手を尽くしても聞こえないので(100%聞こえる状態にはならない)ので、手話が必要なこと。

 

などを中心に話をさせていただきました。

また、S Tを聴覚障害の領域に配置するにしても、聴覚障害分野は奥が深く難しいので、そのS Tを育てるための時間が必要があり、自分も長い時間をかけて、南村先生やろう学校の先生に育てていただいた、ということも伝えました。

 

S Tはどちらかと言うと、どうしても「聞こえ」に着目してしまいがちです。聞こえない・聞こえにくい子ども達は、「聞こえ」だけでできているのではなく、聞こえる子と同じ「子ども」です。まず、その視点が大事かな、と思います。

そして、専門家と言われるには、深い障害認識と、テクニック、そして知識が必要です。それを身につけるには、やはり多くの時間を必要とし、私もまだまだ勉強中でもあります。

また、特に聴覚障害分野では、今井さんもおっしゃっていましたが、最初に誰に会うかで、その親子の将来が決まってしまうところがあります。

 

私は「聞こえない・聞こえにくい、あなたが好き」と言える親御さんになるように、支援していきたいと思っています。

 

それから、手話は0歳から使います。聞こえる子は生まれてすぐからことばを聞いて育っています。聞こえない・聞こえにくい子もできるだけ早くから手話を見て育っていけるように。

手話は人工内耳をするまでのものではなく、人工内耳をしてもしなくても、全ての聞こえない・聞こえにくい子ども達に必要です。そして、手話は言語ですから、途中で手話を使わなくする、ということもありません。私たちは日本人で、日本語を途中で外すなんてあり得ないでしょう。

 

と、ちょっと熱くなってしまいました。

 

最近大笑いした0歳児のお子さんの話。

その子は1歳4ヶ月。手話でのコミュニケーションが成立するようになってきました。食事の時に、初めて食べさせた物を、その子がベーっと出してしまったそうです。お母さんはちょっと疲れていて、虫の居所が悪く、怖い顔をして怒ってしまったそうなんですね。そうしたら、その子、ビックリして泣いてしまって、でも泣きながら「おいしい」と手話をして自分から食べたそうなんです。

すごくないですか?1歳ちょっとで、どうしたらお母さんが笑顔になってくれるのか、そのお母さんの気持ちを察して、気遣って表現した「おいしい」なんですね。すごいですよねぇ。

 

Kotoba-heart.com

 

 

 

 

 

ろう・難聴教育研究会 2月研究会に内閣政務官・今井絵理子氏が発言者として参加予定!

ろう難聴教育研究会の2月研究会に、内閣政務官今井絵理子氏が、発言者として出席してくださる予定です。

 

大塚ろう学校で働いている言語聴覚士の視察で、厚生省と文科省の方とともに今井絵理子氏もいらしてくださり、直接お話しする機会に恵まれました。

そのご縁で、今回の研究会にもいらしていただけることになりそうです。

皆さんもぜひ、ご出席ください。

2月研究会の定員は教室の関係上、40名。もうすでに半数の申し込みがあります。お急ぎください。

皆さん、今井氏にいろいろ質問してくださいね!

 

edh.main.jp ろう難聴教育研究会ホームページ

 

ろう難聴教育研究会 2月研究会のお知らせ

2月研究会のご案内

みなさま、ぜひ、ご参加ください。

 

1 日時2020年2月22日(土)13:00~20:00、23日(日)10:00~15:00

2 会場日本大学文理学部 新本館5階50110/教育・数学ティーチング・ラボラトリー教室(正門右側1号館を通り抜けた先の棟、エレベーター5階後ろの男子便所隣)

〒156-8550 世田谷区桜上水3-25-40 TEL 03-3329-1151

3 参加申込など

  • 所定の申込用紙あるいは同じ項目で必要事項を記入し、
  • メールまたはFAXで、2月17日(月)までに下記へ申し込んでください。

・メールでの申し込み  info@edh.main.jp      藤田公子

・FAXでの申し込み  043-279-4437 藤田公子

  • 参加費は当日受付でお支払いください。
  • 会員の方へ 未払い年会費を、振り込むか当日受付でお支払いください。

※ 参加定員は40名です。先着順で受付ます。定員内なら当日受付します。

 

4 会場案 内(地図は「日大文理学部アクセス」で検索
交通

  • 京王線新宿-下高井戸間(乗車時間10分)徒歩8分

※下高井戸駅からなら、会場までは一本道でわかりやすいのでお勧め。急行が止まらないので各停か快速をご利用下さい。  

 

 

 

 

5 プログラム(予定…変更することがあります。)

 

2月22日(土) 

13:00~

受付開始

13:30

開会あいさつ

13:35

~17:00

①  乳幼児支援の実情報告(来談数、コミュニケーション法、支援内容など) 

立川ろう学校(中澤博美)、葛飾ろう学校(松澤真喜子)、大塚ろう学校、大宮ろう学校等の報告後、参加者どうしの情報交換をします。)

② 自民党議連の「難聴対策」提言と「朝日新聞記事」をめぐっての

  情報交換と協議 

・乳幼児相談への影響、・早期人工内耳装用によるろう学校不要論、・ろう学校乳幼児(0~2歳)支援のあり方、などを観点に議論します。

18:00~21:00

飲食懇談会 (下高井戸駅近くのお店)

23日(日) 

10:00~12:00

「手話で育った大塚ろう学校の子どもたち…研究のまとめ」木島照夫

 (多様なコミュニケーション法の活用という学校の方針転換により大塚ろう学校に手話が導入されて20年になります。その子もたちの育ちについて長年追跡研究を行ってきたまとめをすることにより日本語の育ちを検証します。)      

12:00~13:00

昼食

13:00~14:55

「手話をベースとするろう教育」を考える。(ろう難研役員が提案者)

・「ことばはコミュニケーションの中で生まれ育つ」なら、きこえない子の手話言語、日本語の育ちは、どうすればよいのか

(豊かな手話言語環境をどうつくるか、人工内耳装用児の手話の育ちをどう考えるか、二言語獲得の同時進行は可能か、日本語の育ちを聴覚、視覚のどちらに頼るか、などを観点に議論します。)        

15:00

閉会あいさつ

 

 

 

2月(合宿)研究会(2月22日・23日)参加申込書

 

申込締切:2月17日

        mailinfo@edh.main.jp   藤田公子  

            Fax043-279-4437 藤田公子

※ 申込受付確認の返事をEメールまたはFAXで行います。

 

  • 該当する箇所を○で囲んでください。

ふりがな

 

氏名

(会員 非会員 新規入会希望)

(ろう 難聴 聴)      

立場

教員  保護者   学生 研究者  医者  言語聴覚士 

その他(     )

所属

 

住所

Eメール

 

連絡先

FAX

 

TEL

 

参加区分

  ・22日のみ    ・23日のみ    ・両日

参加費

項目

金額

○を記入

会員

一般(両日参加)

3,000円

 

一般(1日参加)

2,000円

 

学生(両日参加)

800円

 

学生(1日参加)

  400円

 

非会員

一般(両日参加)

4,000円

 

一般(1日参加)

2,400円

 

学生(両日参加)

1,600円

 

学生(1日参加)

800円

 

飲食懇談会費

2,500円

 

 

合計(記入してください)

当日受付でお支払いください

 

 

子どもの立場に立つ

私がずっと関わっている都内のろう学校の乳幼児教育相談は、その支援の内容がとても充実しています。私は言語聴覚士なので、ろう学校で働く前は病院で、聴覚障害をもつ赤ちゃんやお子さんの聴覚管理や個別指導、グループ指導の仕事をしていました。病院は保険点数が関わってきますから、1回のセッションはひとり20分または40分となっています。内容の濃い指導は不可能に近かった。最大の違いは、新生児スクリーニングを受け、リファーと言われたお子さんのご両親に、「聞こえない・聞こえにくいとはどういうことか(障害認識)」ということを理解していただく、という点だと思っています。

 

先日、ろう学校の0歳児グループの懇談で、ふたりのお母さんが生活の記録に書いてくださった内容を取り上げました。その内容は「子どもが手話で表現してくれるのはとても可愛いし、嬉しい。けれど、やっぱり心のどこかで、音声言語で話してくれたらな、という想いがある」「ろう学校にしばらく行くことができず、意識が低下し、補聴器をすると音に反応するので、難聴だということを忘れて関わっていた」というものでした。

 

ひとりひとりのお母さん方に、この内容を聞いてどう思うかを聞いていきました。皆さん同じような想いをもちろん抱えていました。

 

ひとりのお母さんがこう言いました。「うちの子は聴力が重いので、音声言語、ということに関しては難しいかな、と思っている。だから、手話で表現してくれたらとても嬉しいし、もっと表現して欲しいと思う。表現してくれる以前に、今は、ちゃんと理解できているかな、という視点で子どもを見ている」とおっしゃっていました。このお母さんはお子さんが生後2ヶ月くらいからこの乳幼児教育相談に通っています。この1年で、このお母さんの中に、ものすごい価値観の変化があったのだな、と感慨深く思いました。

 

あるお母さんは、このお正月に実家へ帰省したときに、子どもが補聴器をつけると音に反応したり、声を出す様子を見た祖父母が「聞こえているじゃない。大丈夫よ」と事あるごとに言ってきたことに対しての戸惑いでした。

 

あるお母さんは「まだ赤ちゃんで、聞こえる赤ちゃんと何も変わらない様子を見て、聴覚障害があるということを意識できない」とのことでした。

 

そんな話を皆でしたあとに、南村洋子先生からの一言がありました。

南村先生は私のお師匠さん。先生からはたくさんのことをずっと教えていただいています。この世界に入ったきっかけは南村先生。私の人生に大きな影響を与えてくださった方です。南村先生は<0歳児の間に、その後の親子の将来のほとんどが決まる。そのくらい0歳児の指導は大事。ろう教育の要>と常におっしゃっています。私もそう思います。0歳児の間に親子の愛着関係がきちんと形成され、聞こえる親が自分の価値観を変え、障害認識を深めることができたら、多分、その親子は大丈夫だろうと思います。これは聞こえに関係なく、どんな親子にとっても、この原体験のような時期の親子の愛着関係は、その子のそれ以降の人生の核になっていくと思います。そして、どんな子にとっても、この土台がきちんとしていないと、なにも先に進まない。

 

その南村先生からの一言は「聞こえない子どもの立場に立って考えてほしい」ということでした。周囲からあなたは聞こえているから大丈夫。きれいに話せているから大丈夫、と言われ続けると、本人は聞こえない、分からない、ということが言い出せなくなる。そういう人生をずっと積み重ねていくことになる。そんな話をしてくださいました。

 

グループに指導員として入ってくれている聞こえない先生も「自分は以前は中等度難聴でした。でも今は全く聞こえなくなりました。私も周囲から、あなたは聞こえている、きれいに話せているから大丈夫、と言われ続け、聞こえない、ということが言い出せなくなり、分からないことが分からなくなってしまった」とおっしゃっていました。

 

そんな話を聞いていたお母さん方の何人かは、涙を拭いていました。そして、あるお母さんが、「結局は、自分が変わる必要がある」とおっしゃいました。皆、深く頷きました。

 

そんな深い内容の2時間半のグループ活動を終え、グループダイナミックの力と、自分だけではない、という感覚、そして、話をすることで自分の気持ちを<放ち>、自分のなかに落とし込み、自分と子どもと向き合い、今自分が思っていることと向き合う、そういう支援ができるこの乳幼児教育相談は本当の支援をしている場所、原点であると思います。そういう支援ができるこの乳幼児教育相談を大切にしていきたい。そして、この乳幼児教育相談に来てくださる親子がこれから先、ずっと笑顔でいられるように、願わずにはいられません。

 

 

さてさて、この写真は、フランスから持ち帰ったアルザスのバター入れ。こんなふうに水を入れ、バターを入れます。水が入っているからバターが酸化しないのです。しかも容器は保冷される効果があります。すごく便利!日本でも売っているといいのに。

それからこちらは大好きなコンフィドカナール。鴨を焼いた油でジャガイモを炒めていただきました。ボナペティ!

 

 

 

 

 

 

 

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子どもの留学

先日、朝のNHKニュースを見てビックリしたことがありました。

日本では、今、小さい頃から子どもを英語圏の国へ留学させるのが流行っているとのこと。子どもを日本語と英語のバイリンガルに育て、国際的感覚を身につけさせたい、と思う親が増えているそうなのです。小学生の頃から子どもだけを留学させたり、あるいは、父親は日本にいて仕事をし、子どもの留学に付き添って母親も海外で暮らし、家族バラバラの生活をしている、という家族もいました。もうビックリです。家族での関わりよりも、英語の方が大事?と思いました。

取材をされていた子ども達は、皆、それぞれが大変さを抱えていました。

ある子は英語の方が上達して、日本語が喋れなくなりつつあり、親とのコミュニケーションは日本語ではなく、親は日本語、子どもは英語。こういう子ども達の場合、将来はどうなるのかなぁ、と思いました。きっといつかアイデンティティの問題も出てくるだろうなぁ。

バイリンガル、というのは、どこまでのレベルをこの番組では言っているのかな、とも思いました。ちょっとした英語の会話や生活レベルでの英語の会話ができるようになるのにはそんなに時間はかかりません。でも、読んだり、書いたりするレベルまでいくのには、大変なことです。そして、求められるのは、その英語を使って、なにをするのか、なにを語るのか、というところ。語学は手段であって、目的ではないということ。

ある子は小さい頃から自立を求められる海外での生活に、面食らっていました。日本は子ども天国、ということ。日本では子ども中心に家族が回っているところがありますが、海外ではまずは夫婦。そして子ども、という感じです。子どもに対して結構厳しく、子ども達は早く大人になりたい、と思うようです。例えば、友達を呼んでの夕食の時には、子ども達だけを先に食べさせ、寝かせ、そのあと、大人だけでゆっくりと楽しむ。レストランも子どもが入れるレストランはほとんどありませんでした。子ども達はベビーシッターに預けられ、大人だけがレストランに行く。

常に「個」を求められる海外では、どんな些細なことでも自分の意見を言うことになっています。これは土居健郎先生の「甘えの構造」にも書かれていますが、選択の自由が明確に与えられている。

このニュースを見ていて思ったことは、子どもに小さい頃から英語を学ばせる前に、やっぱりきちんとした母国語である日本語を習得させるのが先決ではないのかな、ということ。海外で本当の意味でのバイリンガルの人に会うと、たいていの方は大人になってから英語を身につけられた人。ひとつの言語がきちんと習得できないと、もうひとつの言語なんて習得できないし、思考もできなくなる。そして、その真のバイリンガルの人たちは、その母語である日本語の語彙が豊かで、日本語での表現力もレベルが高い人だったなぁ。

 

ハート&コミュニケーション kotoba-heart.com

 

 

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