『ことばの相談室』徒然

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新生児聴覚スクリーニング検査(新スク)でリファーとなり、コロナで相談にいけない親御さんへ 9

写真カードの作り方と使い方 その1

本当は「ことばが表出できるようになるまでに」を書こうと思っていたのですが、「写真カードの使い方がいまいちわからない」と質問があったので、写真カードの作り方、使い方をお知らせします。

 

難聴児の療育機関に通うようになると、写真カードを作りましょう、と言われると思います。先日のブログでお伝えしたように、カードも「ことば」なのです。

まだ、ママも手話がすぐにできないし、赤ちゃんだっていきなり手話を使われたってわからない。実物も大きなものになると(例えば、学校)提示することは不可能。今、その場にいない人、その場にない物を伝えたいとき、どう伝えたらいいのかな。そういう時に写真カードが役に立ちます。

 

まず、写真カードの作り方ですが、写真の隣に縦書きで文字を書き入れます。例えば、パパの写真。背景はできるだけシンプルに。背景にアンパンマンの絵などがあったら、そっちに目がいっちゃうかもしれません。パパの写真の隣にカタカナで「パパ」、あるいは「おとうさん」と書く。

写真カードは子どもが興味をもったものを中心に作りましょう。例えば、家、家族、おじいちゃん、おばあちゃん、好きな食べ物、好きなおもちゃ、好きなペット、よく行く公園、ろう学校、ろう学校の先生やお友達、病院の先生などなど。

文字を書くときには、平仮名は平仮名。カタカナはカタカナで。そして、分かち書きにする。例えば、「せきねせんせい」と続けて書いてしまうと、どこが単語のまとまりかが分かりにくいので、「せきね せんせい」「〇〇くん の ママ」など、単語と単語の間を少し離して書くと良いです。

あるお母さんに写メを撮って送ってもらいました。こんなふうに作ります。〇〇さん、ありがとう。

 

使い方としては、例えば、今が旬のイチゴ。イチゴを買いに行くときに、イチゴの写真を見せて、「イチゴを買うよ」。スーパーの写真を見せて、「スーパーに行くよ」と写真カードで伝えてから行く。スーパーに着いたら実際のスーパーとマッチング。イチゴ売り場でイチゴを見つけたら、またカードと実物のイチゴとマッチング。

スーパーから戻ったら、またイチゴのカードと実際のイチゴを見せて「イチゴ 買ったね」 スーパーのカードを見せて「スーパーで買ったね」。

目の前でイチゴを洗って、イチゴのへたをとって、もしイチゴを食べるのが初めてだったらまずはママが美味しそうに食べるのを見せる。その後、お子さんに食べさせてみるのがいいでしょう。

なんて話しかけをしましょうか? 「イチゴだよ。きれいだね。真っ赤だね。おいしいよ」子どもの視点に立って、子どもの思っているだろうこと、伝えたいと思っているだろうことを話かけましょうね。

 

そういうことを続けていくと、イチゴが食べたくて、自分から「イチゴ」のカードをママに渡してくれるようになりますよ。あるいは、イチゴが食べたかったけど、ママと一緒に冷蔵庫を確認したらなくて、スーパーのカードをママに渡しに来るかも知れない。イチゴがもうスーパーに売ってない頃にそんなことがあったら、そういう時は、子どものそういう気持ちを受け入れ、「イチゴ食べたいね。探しに行こうか」とスーパーへ行ってみる。一緒に果物売り場を探してみる。「イチゴ ないね〜。もう、イチゴはおしまいなんだね。ないね。でも、ぶどうが売ってるよ。ぶどうを買おうか!」とすればいい。今は分からなくても、年中イチゴが手に入るものじゃないんだな、って思ってくれるでしょう。

 

聞こえない・聞こえにくい子って結構<いき当たりばったりの生活>を送っている子がいるんですよね。聞こえる両親だったりしたらなおのこと。夫婦で音声言語のみで会話をしていると、聞こえる子だったらその会話を聞いてなんとなく理解できるようになる。けれど、聞こえない・聞こえにくい子どもたちって、そういう情報が入らない。

夫婦で「明日、おばあちゃんが来るって」など音声言語だけで話しちゃうと何も分からないわけです。それで、次の日、子どもが後ろを向いたら『えぇ!びっくり〜!おばあちゃん!いる!』ってなっちゃう。そういう経験を毎回続けていたら、おばあちゃんが来るのを楽しみに待つ、とかという気持ちが育たない。しかも、人ってこんな風に突然現れるものなんだ〜、ってそれが当たり前になっちゃう。

そういう時も写真カードなんです。おばあちゃんの写真カードを見せておく。「明日、おばあちゃん来るよ。楽しみだね〜」次の日、「今日、おばあちゃん来るよ。楽しみだね。なにして遊ぶ?」

ピンポーンって玄関のチャイムがなって、「あ!聞こえるよ。ピンポーンって。誰か来たよ。おばあちゃんかな?」と写真カードを見せながらお子さんと一緒に玄関へ行く。ドアを開けて、おばあちゃんとカードをマッチング。「おばあちゃんだ!いらっしゃい」

 

長くなるので、ひとまずここまで。でも、続きがあります。また後で!

ハート&コミュニケーション 関根久美子

Kotoba-heart.com

 

 

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