『ことばの相談室』徒然

ことばやコミュニケーションについて心配や気になること、お子さんに聞こえの問題があり子育てに不安がある、発達全般について心配がある・・・などなど、国家資格を有するカウンセリングサロンです

写真カードへの質問

<届いた質問から>

 

先日、このブログをご覧になっていらっしゃるお母さんからいくつか質問を受けました。きっと皆さんにとっても参考になると思います。その1。

 

  • 写真カードについて。どんな風に写真を撮れば良いのですか?

子どもがどんな風に見ているのか、子どもの視線の先をよく見て撮りましょう。例えば、「おうち」の写真を撮るときに、家の外観やマンション全体を撮ったとしても、子どもはそんな風に見ていないはずです。「公園」の写真を撮るときに、公園の入り口の表札を撮ったとしても、子どもはそんなところ見ていないはず。

 

あるお母さんはバスの写真を撮るときに、子どもがいつもバスを乗るとつり革を見ているので、それを撮っていました。「バスに乗るよ」とそのつり革の写真を見せたら、頭をのけぞって、つり革を見る場面を再現してくれたそうです。

 

あるお母さんはA公園では子どもの大好きな赤いブランコを撮り、B公園では子どもの大好きな滑り台を撮っていました。公園に行く前にはその2枚の写真をお子さんに見せて、「ブランコの公園? 滑り台の公園? どっちに行く?」と言いながら、子どもに選ばせて、子どもが反応を示した方の公園に連れて行っていました。行く途中にもカードを見せて、着いたら、そのカードを見せてマッチングも忘れずに。

 

「おうち」の写真を撮るときには、いつも子どもがいるリビングを撮っていたお母さんもいますね。帰る前に見せて、帰る途中に見せて、着いたら見せていました。

 

「ろう学校」は子どもが学校に着くと、いつも学校の門をよく見ているので、それを撮っていたお母さんもいました。ひよこ組の教室の様子と2枚、いつも使っていましたね。

 

スーパーの写真では、いつもアンパンマンのカートをジッと見ているお子さんだったので、カートを撮っていたお母さんもいました。

 

場所のカードを使って見通しを与える場合は、行く前、行く途中、行ったあと、と最低3回は見せられると良いかも。あるお母さんは、「〇〇に行くよ」と伝えた後、ベビーカーにひと工夫して、子どもがよく見える位置にカードを留めていました。

 

それから、子どもがジッと見ているもの、好きなものをカードにしましょう。子どもの視線の先を一緒に見てみないとわかりません。ジッとみているのは、子どもの興味のあるものです。子どもが何を見ているのか、それをいっしょに見てみましょう。

 

春になって、きれいな花がたくさん咲いていますね。ママはお子さんがそのきれいに咲いているチューリップを見ていると思っていたとしても、もしかしたらお子さんはその花についている毛虫を見ているかもしれません。お子さんがママに共感してもらいたくてこちらを見てくれたときに、「きれいな花ね」と伝えたとしたら、お子さんは見ていた毛虫を「きれいな花」と覚えてしまうかも知れませんね。この場合、撮る写真は、ママは花を撮りたいでしょうが、お子さんが興味をもったものは「毛虫」なので、写真カードは「毛虫」を撮って作ります。

散歩から帰って、家で「毛虫」カードを作って、「毛虫 みたね〜」と毛虫がそこにいなくても、再び伝えることができます。そしてまだ記憶が新しいうちに、次の日にでも、その毛虫カードを見せて、「毛虫、見に行こうか。まだいるかな?」とまたその場に行ってみる。その場に着いたら、カードを見せながら毛虫を一緒に探してみる。「どこ?探そう。どこかな?」「いないね。毛虫 いない。バイバイだったね」

 

興味のあることからしかことばは育っていきません。ママがいくら、このことばを覚えてもらいたい、と思っても、子どもに興味がなかったら、子どもの中にスッと入っていかないのです。だから、自分のお子さんが何に興味があるのか、何が好きなのか、それをたくさん知っていってください。

 

Facebookであるお母さんに作り方を教えてもらいました。そのお母さんは聞こえない子を育てているベテランお母さんです。みかんゼリー!美味しかったです。レシピありがとうございます。

 

 ハート&コミュニケーション 関根久美子(ST)

kotoba-heart.com

f:id:heart-kotoba:20200429110106j:plain