新生児聴覚スクリーニング検査(新スク)でリファーとなり、コロナで相談にいけない親御さんへ 6
私は発達に遅れのある子どもたちとの関わりもあります。
あるお子さんで、耳は聞こえているのだけれども、おしゃべりができない子がいました。その子はことばの理解はできているのだけれども、おしゃべりができないのです。おしゃべりをするって簡単そうだけど、実は脳の回路をいくつも通らなくてはいけないのです。きっといろいろ表現をしたいことあるんだろうな、と思い、簡単なジェスチャーを入れてみました。始めは真似っこでした。でもそのうちに自分からそのジェスチャーを使い始め、そのあたりから、相手の口元をよく見るようになり、音声模倣が出てくるようになり、なんと簡単なことばだったら言えるようになったのですよ!
おしゃべりは難しいと医者に言われていたというママは大喜び!良かった。
さて、前回は視線を合わせて、ということをお話ししました。
今日は、それにプラスして、実物を見せて、ということをお話しします。
おむつを替えたり、ミルクをあげたり、1日の中で何回も繰り返すことってありますね。そういうことをまず丁寧におこなってみましょう。
ミルクをあげるときに、今、どうしていますか?もし、赤ちゃんをベッドに寝かせたままで、サッサと台所で作ってしまい、それを「はい、どうぞ」としている方は、ぜひ、その習慣を替えてみましょう。
おむつを替えるときに、サッサと替えてしまっていたら、それも変えていきましょう。
ミルクはまず空の瓶を見せる。「ミルクないね」「ミルク 作るね」と手話も交えながら目を合わせて伝えましょう。ミルクを作るところも目の前で見せてあげると良いですね。こちらを見てくれたときに、「おいしいミルク 作ってるよ〜」とか「お湯を入れま〜す。アッチッチ」など言いながら伝えていきましょう。そういう一連の過程を見せることってとても大事です。それがイメージにつながり、イメージがことばの土台を作るからです。見ていないところでサッサとミルクを作ってしまってそれを飲ませるのと、目の前で作っているところをコミュニケーションをとりながら見せていくのとでは、数ヶ月後、大きな差がでてきます。
聞こえる子だったら、ママが台所でミルクをカチャカチャ作っている音が聞こえるから、なんとなく「もしかしたら ママ 作ってくれてる?」なんて思えるかも知れないけれど、聞こえない・聞こえにくい子の場合は「目の人」ですから、見せてあげましょう。
おむつを替えるときも、おむつを見せて替えることを伝えましょう。何も予告しないでおむつを替えられると、やっぱりビックリしますよね。おしりふきも見せてから拭いたり、ズボンも履かせるときに「ズボンを履くよ」と見せてあげたりしましょう。そのうち、オムツを見せると静かに横になってくれたり、ズボンを見せると足をあげて協力してくれたりしますよ。
あるお母さんは出たウンチを見せて、ちゃんと子どもといっしょにトイレに捨てに行き、それを「バイバイ」と言いながら流して、ゴミ箱に捨てる、というプロセスを全部見せてあげていました。もちろん話しかけもいっしょに。歩けるようになったころ、「オムツ ポイしようね!」と伝えると、その子はひとりで自分のおむつをゴミ箱に捨てるようになりました。
ハート&コミュニケーション 関根久美子
Kotoba-heart.com